三大栄養素・リン編
今回は作物の三大栄養素の一つ、リンについてです。
前回は窒素についてでしたが、作物に重要な働きを起こすリンは作物に対してどういう影響を及ぼすのかをお伝えしていきたいと思います。
リンの作物への働き
リン酸(P)は遺伝子の元になるDNA(核酸)の重要な構成成分です。また生物の細胞膜の構成成分でもあり、糖類と結合して生物体内でのエネルギーのやりとり(呼吸作用)に役立ちます。植物では開花・結実を促進したり、根の伸長、発芽や花芽のつきをよくする働きがあります。 果実の成熟や品質の向上にも役立ちます。
このようにリンには花の開花と実に対して影響が大きいといえます。
ですから、夏野菜は実を大量にとるものが多いためリンは重要な要素になってきますし、それを効率よく吸収する工夫が必要となります。
リンを多く含む有機堆肥として使われる牛糞、鶏糞、などがリンの補給として期待できるでしょう。
またリンはカルシウムとも結びついた状態であれば作物は吸収することが可能になります。このようなことからも、土作りの際には石灰を使用する訳ですね。
リン酸の特徴
リン酸について知ってくべき2つのワードがあります。
1 有効態リン酸
「有効態リン酸」とは作物が吸収することが出来る状態のリン酸のことです。
実はリンそのものでは作物はリンを吸収することが出来ません。
堆肥などが土と混ざり、微生物が分解した際に有効態リン酸へと変化します。この状態の時に作物がリンを吸収することが出来ます。
しかし、作物がリンを吸収することが出来ると同時に、土壌の鉄やアルミニウムと結合してしまうと言う点もあります。
2 難溶態リン酸(=リン酸固定)
難溶態リン酸(=リン酸固定)というのは、土壌の鉄やアルミニウムと結合してしまい作物に吸収され辛い状態になってしまうことです。
難溶態リン酸になりやすい土壌は火山性土といわれています。
このような条件の土壌にはより別の方法でリンの補給を考えなくてはいけません。
ただ、落花生など作物によっては成長可能なものもあるようです。
リンのデメリットについて
【リンが多い場合】
・極端な過剰では草丈が伸びず、生育不良となる。
【リンが少ない場合】
・開花・結実が悪くなり、成熟が遅れる。
・新しい葉が小さく、茎も細くなる。
・果実は甘味が少なくなり品質が低下する。
と言った点が挙げられます。
まとめ
リン酸の過剰な状態はなかなか無いとは思いますが、リンの欠乏してしまう状態はありえると考えられます。
実を付ける作物を育てるのにはリンの力が必要になってくるので実が育ちにくい時はリンを追肥でリンの補給を行うことを検討するのもいいかと思います。
今回はここまで。